木曽漆器 箸

漆は、不思議ですし分かりずらいことも多いです。
高価な印象もあり、扱いもどうしたら良いのか…そんな印象があると思います。

私もそう思っていますし、なかなか手が出ないもの…
ですが陶磁器にはかえがたい木のぬくもりがあり、魅力があることも確かです。
実家にねむっているものだったり、骨董市などの古いものは安価で良いものがたくさん出回っているので、その辺から漆器をとりいれていくのもいいかも、、、
陶磁器よりも強いとききますので、試しに使ってみては!

そんなわけで私もまだ知らないことの多い漆。木曽では、お椀などを仕入れたいと思うものの、塗り師さんたちに話を伺うだけにとどまりました。
そんな中、木曽檜を使った箸が目にとまります。
各工房で様々な種類の箸をつくっているわけですが、シンプルで使いやすくそれでいてそれほど高くないものは、以外と大きな物流にはのらないもの…
こういった箸は以外と見かけないなあ、、、と思いました。

写真では色が少し違ってみえるのですが、朱の色は”うるみ”と呼ばれ、赤っぽい茶色といった感じです。
木曽の工房で、とてもきれいだったのでみるようになりました。
もちろんうるみといってもいろいろな色があります。
黒と赤の色両方をいれるとこの色ができるそうで、色は細かい粒のようなもので色が”交じって”新たな色になるということではないそうです。
こちらの箸は、スキ漆(色の入っていないうるし)を塗り、乾かし、表面に凹凸をつくるためやすりをかけ、吸わなくなるまでもう一度塗り、上に仕上げの漆を1−2回かけているそうです。

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こちらのお箸は、ちょっとよそゆき顔かな?!
さらに手間のかかった作業をされています。
スキ漆を塗り重ねること5回、なが塗りと呼ばれる仕上げは2回。
乾かす段階で色むらができぬよう、回転する機械を使い、漆が乾くには湿気と適温が必要なので(不思議!)ムロへ。
ゆっくり乾かすのにも2日はかかるそうです。
もちろん一本一本の手作業...
それから、この箸の先の部分はツルツルしないように、木曽の下地などに使われてきた”錆び土”を少し混ぜているのだそう。
細かい仕事に聞いているだけで気が遠くなります・・・
また私は、漆にちゃぽんとつけているのですか?と質問、刷毛で一本一本塗っているのだとか・・・
安易な発想がでてしまいました!すみません!

ちなみに、箸の素地自体は同じものだと思います。
とても軽いです。

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吹きガラスの西川さん、八重山民具のほうきなど

陶器市用に最後の最後ぞくぞくと届いた、広島と沖縄で制作されている西川孝次さんの吹きガラスや石垣島、竹富島のほうきたち。
それから木曽檜のお箸。
実際みていただくと、写真とは違った感覚でみていただけると思います。
手に取っていただきたいので時間があえば、ぜひ西荻までいらして下さい。

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木曽漆器 つづき

木曽路平沢の漆工房や店が中山道沿い1キロ程に、80〜100軒はあるかと思います。
隣の奈良井にも10〜20軒程あるように思います。

奈良井は観光客も多い土地ですが、平沢は普段はひっそりとしているそうです。
漆を使った作業は、ホコリが大敵なので店を開け放していることは少ないとのこと。
店や家の奥の蔵や作業場を使ってつくるそうなので、どのお家もきちっとしていらっしゃいます。
お店の様子や漆の製品をお見せできないのが残念ですが、それぞれに持ち味や特色が違い、眺めているだけでも穏やかな気持ちに。

平沢では塗り師が多く、木地はお椀の得意な山中、コネ鉢などは南木曽、指物はどこそこ・・・とそれぞれ得意な木地師に頼んでいるそうです。
また、奈良井は木曽檜やサワラを使った曲げ物を得意としています。

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今は車で2時間程ということですが、岐阜高山との往来も盛んなようです。
木曽漆器に伝統的な塗りの一つとして木曽春慶がありますが、春慶塗は高山で400年前に始まったということですので、奈良井宿は約200年前ですので、高山から伝わったのでしょう。また朴葉を使った料理などにも共通点があるように思いました。

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奈良井宿の資料館には、地域の歴史がつまっていました。昭和40年頃に寄贈されたものが中心だそうです。
箱膳は日本全国で使われたものだと思いますが、かつて食事は各自が箱膳を持ち、自分だけのうつわや箸をおさめておき、食べる際にフタをひっくり返して食事の台にするもの。なかなか洗うこともできず何日かはそのままだったのでしょう、、、、臭い消しのためにある植物を箱膳の中に一緒に入れておいたというお話を聞かせて頂きました。

漆の盛んなこの地域ですので、いろいろなものが目につきました。
御神輿や行灯、コネ鉢やコネ板、そば道具やわっぱのお弁当箱。女性用の櫛やお歯黒壷など…
よく考えてみると漆はいろいろな所に使われているのですね。
最近はこちらから文化財の修復にも出向くことがあるそうです。

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木曽漆器

木曽漆器祭に来ています。

諏訪湖をすぎ塩尻あたりで一般道に入ると、
青々としたぶどう棚が見えはじめます。
ほどなくすると急に山と山をぬっていくように道はすすみます。スキー場の案内板が4つも5つもある所をみると、冬は全く違った様子になるのでしょう。

 

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ここら辺から中山道の宿場町が続くのは、地名をみても分かります。本山宿が近づくと“漆”の文字がちらほら。少し視界が平らに開けたと思ったら、また峠を一気に上る。ともう贄川(にえかわ)の宿はすぎて、うるしの里平沢。さらに先には奈良井の宿場町。こちらも曲げものなどの塗りものが盛ん。

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道なりに南へは、中津川、名古屋方面ですが
道の正面には鳥居峠が覆いかぶさるようで、
両脇にも山々が近く、谷底にはしる中山道は木曽川と連なっています。ひと休みするのにちょうど良いところ。
江戸時代半ばより、宿場町の旅人が持ち帰ったのが“木曽漆器”の始まりだそうです。

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